Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゃくしょこくばなし
新釈諸国噺
Lesen Sie 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.562 Zeichen · 179 Bildschirme
では、あの蹴鞠は?」
「足さばきがどうのこうのと言って稽古しているようですが、塀を飛び越えずに門をくぐって行ったって仔細はないし、闇夜には提灯をもって静かに歩けば溝へ落ちる心配もない。何もあんなに苦労して足を軽くする必要はありません。」
「いかにも、そのとおりだ。でも人間には何か愛嬌が無くちゃいけないんじゃないかねえ。茶番の狂言なんか稽古したらどうだろうねえ。家に寄り合いがあった時など、あれをやってみんなにお見せすると、――」
「冗談を言っちゃいけない。あれは子供の時こそ愛嬌もありますが、髭の生えた口から、まかり出でたるは太郎冠者も見る人が冷汗をかきますよ。お母さんだけが膝をすすめて、うまい、なんてほめて近所のもの笑いの種になるくらいのものです。」
「それもそうだねえ。では、あの活花は?」
「ああ、もうよして下さい。あなたは耄碌しているんじゃないですか。あれは雲の上の奥深きお方々が、野辺に咲く四季の花をごらんになる事が少いので、深山の松かしわを、取り寄せて、生きてあるままの姿を御眼の前に眺めてお楽しみなさるためにはじめた事で、わしたち下々の者が庭の椿の枝をもぎ取り、鉢植えの梅をのこぎりで切って、床の間に飾ったって何の意味もないじゃないですか。