Japanische Klassiker mit Furigana
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たびだち
旅だち
豊島 与志雄
Lesen Sie 旅だち (たびだち) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.059 Zeichen · 24 Bildschirme
美しいと言うよりは寧ろ怪しげに光ってる眼でした。それらの眼のなかで、敏子は慴えた気持ちになりました。そして秋田洋子を探しましたが、なかなか見当りませんでした。
敏子は当惑して、外に出ました。街路を一廻りして戻ってき、階段をゆっくり昇ってゆくと、洋子にばったり出逢いました。
二人は頷きあいました。廊下の先端の人のいない所へ、洋子は敏子を引っぱってゆきました。
「保科さん、さきほどいらしてたわ。待ってらっしゃいよ、探してくるから。」
そこに、敏子は長い間待たされました。それから、外に出て、街路にぼんやり佇んで待ちました。通行人を見るともなく眺めながら、心は遠い雪国へ舞い戻ってゆくような気持ちでした。
長い時間のあと、洋子がやって来ました。
「こんな所にいたの。ずいぶん探したわ。だけど、こんどは保科さんの方がだめよ。どっかに消えちゃったって、仲間の人たちが仰言ってるわ。なんだか手違いが多くって、予定通りの行事にならないらしいの。それでも、みなさん、平気でいるから、おかしいわ。もう初まるところよ。会場へ行きましょうか。」
敏子は気のない微笑を浮べて、動こうとしませんでした。