Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「大蔵大臣って、どうしてあの人が大臣と交際しなくちゃならんのです。」

と矢代は不思議に思ってまた訊ねた。

「あたしもそれが分らなかったんですの。ところが、こうなの。日本は今丁度、鮭の缶詰をフランスへ輸出してるんだそうですのよ。それがフランスの法律でもうこれ以上は輸出困難というところまで来てるもんだから、その法律をね、何んとか自由にする工夫をして、もっと輸出しなくちゃならないっていう算段なの。日本の大使館必死に活動してるのよ。そんな仕事に大使がいきなり出ては駄目でしょう。大使の出るまでにいろいろ下の者が、工作をしておかなくちゃならないから、その工作にサロンを利用するらしいの。でも、塩野さん、パートナーがないのでどうもやり難くって困ると仰言るの。」

矢代はそこまで聞くと千鶴子のいうこともようやく頭に這入って来た。

「じゃ、あなたもいろいろ鮭のことを質問するんですか。」

「いやだわ。あたしはただ、サロンで踊りのお相手したり、向うの秘書官とお茶を飲んだりしてればいいのよ。その間に塩野さんたち、だいたいの向うの意向を探るんでしょう。」

こう云う話を聞くと、矢代は手近に今までいた千鶴子も、遠く距離を放して生活している婦人のように見えて困るのであった。