Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

「ここは人の休みに来るところね。休もうと思えば幾らでも休める所ですものね。」

と千鶴子も、今は当らず触らぬことを云って矢代のいら立たしさを慰めようとするのだった。

「そうそう。人が休むときには、どんな顔をして休むものか、僕らは見に来たようなものですよ。僕はここでいろいろなことを考えたけれども、結局、人は働かねばいられぬということだけが明瞭になりましたね。心の故郷というのは、働くということより何もないのですよ。」

千鶴子は、はっきり手の指の影まで映る道路の面から、照り返っている真鍮の鋲の光りに眼を細め、

「でも、それは皮肉よ。あたしなんか何も働けないんですもの。これ、こんな手。」

と矢代の前へ一寸両手を出して見て笑った。

「あなたなんかは物の批評眼を養いに来たんですよ。パリなんてところは、僕らの生きている時代に、これ以上の文化が絶対に二つと出ることのない都会ですからね。見ただけでもう後は一生の間、何んだって安心して批評が出来ましょう。だから、ここにいるからには遊ばなきア損ですよ。日本の農村の売られる娘のことなんか考えていちゃ、ここでは力は養えない。」

「じゃ、あたし、サロンへまた行ってもいいんですのね、それをこの間から伺いたかったの。