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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

」

こう云っているとき、強い稲妻が真近の空で閃いた。氷河が青く浮き上ったと見る間にびりびりと震え、梭のように山から山へ閃光が飛び移った。

千鶴子は耳を蔽って椅子の背に小さくなっていたが、稲妻はひきつづき山を喰い破らんばかりの音立てて閃いた。矢代は窓を閉めた。

「あの山は鉄ばかりだから雷が集って来る。戦争みたいなものだ。」

千鶴子はまだ耳を塞いでいるので矢代の言葉は聞えぬらしかった。

「こんな恐しいところ、あたしいやだわ、早くパリへ帰りましょうよ。」

「凄いなア。」

長椅子の上へもたれかかって矢代は煙草に火を点け、まだどこまで続くか分らぬ空の光りを眺めていた。雨脚が白い林となって吹き襲った。

「あら、また。」

と千鶴子は青くなった。爆烈して来る音響の中で明滅する氷河は、夜の世界を守護している重厚な神に似ていた。矢代は身を切り落されるような切実な快感に疲れも忘れさらに続く閃光を待つのだった。稲妻に照し出される度に表情を失い、白い衣の中でい竦んだ雌蕋に見える千鶴子が、矢代には美しかった。

「あたし今夜は眠れないわ。雷が一番恐ろしいの。」

「じゃ、この部屋でやすんでらっしゃい。