Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

――」

ここまで沖氏が云うと床の緋の絨毯を靴で打つものや奇声を発するものがあったが、すぐピアノは鳴り出した。背中の少し開いた真紀子のソアレの割れ目から緩急に随い、人より白い皮膚が自由な波のように揺れ動くと、三島は「ほおう。」と剽軽な歎息をもらしたのでまたどっと皆は笑いを立てるのだった。余興のこととて曲は手軽に辷って終ったとき、拍手の中を沖氏がまた立ち上った。

「皆さん、今の御演奏はまことに御立派なものだと、感服いたしました。これは一重に明日マルセーユへ現れる御主人のことを、毎日毎日思いつづけられた淑徳の結果かと存ぜられます。次に一つ、千鶴子さんにお願いします。」

千鶴子は真紀子の弾奏中にすでに次ぎに廻って来るものと覚悟をしていたものと見えて、すぐ臆せず立ち上った。

「あたくしはピアノが下手でございますから、唄にさせて貰います。」

「何んです、何んです。」と云うものがあった。

「伴奏、伴奏。」と誰かが云うと、真紀子が再度ピアノの傍へ沖氏に引っ立てられたが、三島は突然真紀子の傍へよっていって、「靴、靴。」と云いながら裾の方へ跼み込んだ。沖氏は一寸不愉快そうな顔になると三島の肩を掴んで自分の席へ連れ戻った。