Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

久慈の母は年中お茶を立てては方角のことばかりを気にし少しの旅行でも方位が悪いと一度親戚へ行って泊り、そこで悪い方位を狂わせてから目的地へ出発するという風だった。久慈が神戸を発つ日も暗剣殺が西にあるから、船中用心をせよとくれぐれも教えた。一度親戚の家の巽の方角に便所がある家があって、そこに丁度四緑の年にあたる娘があったが、久慈の母はそれを心配しつづけ家を変るようとしきりに奨めたことがあった。そのまま居つづけては、娘が二十三の年になったとき死ぬというのである。親戚の者は笑って相手にしなかったところが、何の病気もない健康なその娘が二十三になると、突然肺壊疽か何かで二三日で死んでしまった。それ以来一層久慈の母は方位に憑かれるようになって、他人の年齢を一度訊くと、直ちにその者の月番の方位の善悪を宙で云えるまでになってしまっている昨今だった。一つは嵩じていく母の迷信への反感も手伝い、また一つは元来科学主義の信奉者である久慈には、東洋のこの運命学は全く不愉快でたまらなかった。

「お母さん、いったい、そんなことを一一真に受けて動いていちゃ、出来ることでも出来なくなるじゃないですか。