Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
」
「ようし、人間は同罪だ。行こう。」
と久慈は云って勘定を命じてから立ち上った。
「そこで真剣勝負だぞ。」
と矢代も云った。間もなく、三人はそれぞれ自分の影を後ろに倒しつつ山から下の遊び場の方へ降りていった。
パリではモンマルトルの麓に一番高級な踊場が沢山ある。その中の一二を争う家を選んで三人は中へ這入った。メイゾン・ルージュは中が全部紅いだった。あまり広くはない正面の楽師たちに絡りついている真鍮の楽器の管から、しっかりと音締めの利いた音がもう久慈の胸中に吹き襲って来た。ふと彼はそのとき真紀子と逢う用事のあったことを思い出したが、椅子へ腰を降ろすと忽ちそれも忘れてしまった。踊子たちが三人の傍へよって来た後から、すぐシャンパンが氷につかった桶のまま運ばれた。部屋の中央で踊るものは踊り、休むものは椅子に休む。
「ははア、これは千九百二十六年のだな。」
と東野はシャンパンのレッテルを読んで感心した。東野の説明ではその年はここ五十年間のうち一番良質の葡萄のとれた年で、味もその年のが断然良いとのことである。西印度生れの歯の白い混血の踊子は締った良く動く体で、休んでいる暇にも音楽に合せて笑い、振り向き、話しつつ膝で拍子をとっていた。