Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

間断なく鳴りつづけるバンドの調子を客の心も脱すわけにはいかない。絶えず上へ上へと浮き上っていくリズムは、船が船客をつれ歩くように室内の空気を果しなく揺っていく。カルメンのように顳※(「需+頁」、第3水準1-94-6)のカールを渦巻き形にしたイタリアの女は、シャンパンの世話をするにも絶えず笑っていた。何がそんなに面白いのかと思わせるような笑顔は、踊子だけではなくどの客も同様だった。それもバンドがそんなに鳴りつづけていると、もう部屋には特に音楽が満ちているとは感じない。ただ心は何ものかある中心に向って前進していくばかりだった。

「ここの女は本物だぞ。まさかこれまで嘘じゃなかろう。」

と久慈は云ってイタリア人の肩を撫でてみた。

「しかし、これも自然じゃなさそうだよ。」

と矢代はコップを上げ理由もなくまた笑った。

「そうだ、もうこれや、どこへ行っても僕たちは自然に還れそうもなくなったよ。乗せられてばかりだ。どうです、東野さん、まだあなたは俳句を考えているんですか。」

と久慈は浮き浮きしながら東野の顔を覗き込んだ。東野はイタリア人の腕を握ってみて、

「この婦人はね、僕にどうしてそんなに淋しそうな顔をしてるのかと訊ねるんだが、そんなにまだ僕は淋しそうかな。