Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「これは面白い、真剣勝負をやっとるな。」
と久慈は云うと、まるで育て上げた子供の背の高さを見る風な楽しげな眼つきで皿の柱を眺めていた。
「とうとう自然に還ったか。」
と東野は云ったが、客の消費量を隠そうともせず眼の前に見せつけつつ時間を奪う、これでもかという遣り口に矢代はもう反抗心を起して来たらしい。
「よしッ、もっとやれ。」
と云うと彼はシャンパンを自分で注いで踊子たちにも振り撒いた。一歩斬り込んで来たようなこの矢代に、久慈も負けてはいなかった。口に上げるコップのシャンパンが半ばは手の甲にこぼれてしまうほどだったが、それでも立って踊りにいってはまたシャンパンを胸までこぼした。この間にもほとんど休んだことのないバンドは、目的物に肥料を与えるように皿の柱を延ばすのだった。
ひと踊りすませて戻って来た久慈は、椅子にどかりと凭れたとき、ふとまたその皿の柱が眼についた。すると、突然その柱の形態から、ノートル・ダムの内陣の四隅の屋根を支えている、脊椎のような細かい節を無数に積み重ねたあの柱を思い出した。
「あ、ここはこれやお寺だ。」
と思わず久慈は声を上げた。
「お寺だ? そうかもしれんぞ、どうもお経を誦まれているような声がするよ。