Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
幽霊は海の中だ。」
罷業がつづいてからというもの、外国銀行へ流れ出す急激な金の速度にうろたえたフランス政府の顔色を憶い、久慈はそう云ったのだが、千鶴子も丁度『幽霊西へ行く』という映画で、ヨーロッパの精神が幽霊となり、物質文明とともに大西洋の海を渡ってゆく諷刺劇をサンゼリゼで観た後だった。
「じゃ、幽霊が空虚になっていなくなったからストライキ起って来たのかしら。何んでもお砂糖も明日から買えないってことよ。水道と発電所とを軍隊が守っているので、それだけはどうやら無事なんですって。」
ボーイがショコラを持って傍へ来たとき、砂糖はまだ買うことが出来るのかと久慈が訊ねてみると、自分の家は買溜がしてあるから当分は大丈夫だと答えた。
久慈はここでの先ず何よりの自分の勉強は、この完璧な伝統の美を持つ都会に働きかける左翼の思想が、どれほど日本と違う作用と結果を齎すものか、フラスコの中へ滴り落ちる酸液を舐めるように見詰めることだと思った。すると、そのボーイの無愛相なのろさまで、今に自分たちもここの家の火を消すのだと云っている顔に見えて来た。組合の発達しているフランスであるから、労働者はみなそれぞれどこかの組合に這入っている。