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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうだそうだ。」と相槌打って身体を始終もぞもぞと動かした。

「これで日本の青年たちは、どんなにパリをあこがれているかも知れませんぜ。それを皆さんここまで来て、何をくよくよしてるのですか。僕は君らを見てると、まるで坊主を見てるように思えますな。僕がもし諸君だったら、あるだけの金をここで使うてしまう。ここでケチをする奴は、そ奴は一番阿呆な人間じゃ。」

割れかかった石榴に石を加えたように沖の言葉は久慈の心中へどしりと重みのある実を落した。すると、突然、矢代は遮るように、

「それは沖さんの感傷だな。ここは全く監獄だ。僕らはみな金を家から送って貰ってる俊寛ですよ。こんなところでうつつをぬかしたら、もう最後だ。」

と云った。

「あなたは船の中でもお坊さんだったからなア。まア、坊さんは世界のどこへいったって坊さんだ。」

と沖はひとり首を動かして頷いた。

「いや、かまわん。パリで坊さんしてやろう。」

と矢代は後ろへ反ってナフキンを唇にあてがった。三島は矢代の肩をしきりに叩きながら、

「あんたは坊さんなんかになりなさんなよ。え? 何が坊さん面白いのだ。」

にこにこと眼尻に下った好人物らしい皺を笑わせて云う三島を見ると、今まで全く忘れていた船中の三島の癖を皆は思い出したらしい。