Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「中国との戦争の噂はばったり二、三日で熄まったじゃないか。やはりあれは嘘だったんかね。」
と矢代は訊ねた。
「何んでもあれは、陳済棠と李宗仁が広東で戦争をしたのを、日本と中国との戦争だと早合点したらしいんだが、戦争のニュースの出た夜、サン・ミシェルの支那飯店で日本人が一人ひどい目にあってるね。」
「そう云えば、僕らの行った夜も沖さんは危かったよ。あの人は演説が好きなんだ。あれは社長の癖が我知らず出てしまって、何か事あるときは日本人を代表しなくちゃならん、と思い込むのが趣味なんだね。船の中でもあの人さかんにやったからな。」
こういう話をしながらも、矢代は今夜真紀子と踊りに行った中国人の高有明の表情は、船中のいつもと変らずなごやかな信頼の情を顕していたのを思うと、時が時であるだけに、まだ通じ合う何ものかも失われず残っているのを感じ、思いがけない灯火を見たように真紀子の帰りの話を待ち受けるのだった。
「云うのを忘れたが、今夜オペラへ真紀子さんと行ったのだよ。そうしたところが下のホールに高さんという中国人ね、ほら、船の中で二等にいたダンスの上手い中国人がいたじゃないか。