Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

御飯が食べられないより食べられる方が有り難いに定ってるんだけれども、それを馬鹿にするものが日増しに多くなって来てるんです。そんなら、つまりお墓へ吸いよせられて行ってるのだ。おまけに、さア急げと号令かける男まで出て来てるから、お墓詣りに、血を流す。」

「ちょっと、それはここのお墓のことなの、日本の? どちらですの。」

「ここのお墓だ。」

と矢代は云って笑った。

「日本にはお墓詣りに血を流したものなんかいやしない。流さぬためにお墓詣りに行くんだが、ここのは血を流すためのお墓詣りみたいなものだ。」

矢代はふとこう乱暴に云ってから、突然、

「どうして僕はここへ来ると、こんなにお国自慢がしたくなるんだろ。少し慎しまなきアいけないかな。」

と苦笑してあたりの美しい街路樹の森を眺めた。厚いガラスの筒口から吹き昇っている巨大な噴水が、広場いったいに霧のように吹き乱れて散り、マロニエの葉の間から滴りを顔に辷り落した。風船の塊りが樹の幹の間で揺れているその向うから乳母車が動いて来る。千鶴子は盛り上った薔薇の丸い花壇の中を絶えず辷ってゆく自動車を眺めて云った。

「これみんな前には馬車だったのね。