Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

いつまでも扉が開かぬと塩野と東野も束になって扉にあたった。すると、きしみながら僅に扉の開いた向うから、急にぱっと西日が眼を射した。そこは外郭だった。こちこちに固った鳩の糞が一面堆く積っている。

「ほう。ビクトル・ユーゴー、ここへ来たにちがいない。背虫男の好きそうな所だなア。」

塩野は鳩の糞を靴先でつつきながら、

「しまった。懐中電灯忘れたのが、何よりの失敗だ。」

としきりに残念がりつつ、今度も真先に外郭をずっと裏口の方へ進んでいった。そのうち行く手が石の廻り階段になった。十三世紀特有の眩暈のしそうな石段は、もう烈しい腐蝕で靴をかける度びに破片がぼろぼろ崩れ落ちた。またそこは高い上の方に、小さな空気抜きの穴がところどころにあるきりなので一層暗かった。石壁を手と足とで擦り上らねばならぬ。

「しまったな。懐中電灯忘れるなんて、しまった。」

とまだそんなに口惜しがっている塩野の声が、もうよほど上の方でする。真暗なうえに真紀子を曳いて昇らねばならぬから、久慈は息苦しさにときどき立ち停った。東野は俳句の種を探しているのか、前から黙黙として一言も物を云わず、厭そうな顔をしているだけだった。