Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
中国は面白い国だこと。」
危くくねらせた斜めの体を、椅子の肱で支えようとしたその拍子に、片手の指に挟んだ煙草の火が、テーブルの縁に擦れぼろぼろと崩れ落ちた。
「何んです。そのざま。」
久慈は足で絨氈の上の煙草の火を踏み消して云った。
「どうして悪いの。高さんがいらしたって、いいじゃありませんか。」
「失礼じゃないか。」
「だって、ゆうべもお世話になったんだわ。ね、高さん、もっとゆうべはお世話になりましたわね。」
光って来た眼を高の方に上げた真紀子の鼻孔が大きく膨らみ、赤く濡れた唇が嘲笑を泛べて久慈に反抗するのだった。
「あなたはもう寝なさいよ。疲れが出たんだよ。」
久慈は真紀子の脇に手を入れ寝台の方へ立たせようとすると、ぐたぐたになった真紀子の身体が、突然強く緊って底から久慈を突き除けた。
「あちらへ行ってよ。あたし、高さんと議論をするのよ。あなたのなんか聞いてられない。合理だの非合理だのって、何んなのそれ。」
起き上ると、皆の眼をさもうるさげに視線を反らし、真紀子は半眼のままコップを手にとった。
「駄目だよ。馬鹿ッ。」と久慈は呶鳴りつけた。
「煙草。」
真紀子は久慈の方へ手を延ばした。