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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

どこへ行くのだ。」

「どういうことかしら。真紀子さんにあたしからあなたの気持ちお話すればいいの。そんなら明日でもお話してみてよ、真紀子さん何んと仰言るか分んないけど。あんな人だから、あなたのようにそんなに、心配なんかしてらっしゃらないんじゃないかしら。」

強いて聞えないふりをしているかと思える千鶴子の伏せた瞼毛の隈が、久慈と視線を合せることを避け静かにじっと沈んでいた。

「そんなことを話して貰っても困るね。事は大げさになるからな。こんな隠微なことは何んとかすらりと暗黙のうちに解決をつけなくちゃ、お互の恥だよ。譬えばもし真紀子さんと僕が結婚するような羽目になって、どっちも倖せになるような日が来たら、君に云われたことがまたどんな不幸な記憶にならんとも限らないさ。だから、今夜のことだって、君ひとりの胸の中に仕舞っといてくれ給え。濫りに口外されちゃわざわざお話した甲斐がないや。」

千鶴子は初めて明るく笑顔を久慈に向け、出かかろうとする欠伸を手で停めた。

「難しいのね、あなたたちのこと。」

「難しいんだよ。しかし、まア、あなたに会ってどうやら少し落ちついて来た。これで明日一日ぐらいは保つだろうな。