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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

久慈は、「うむうむ。」とただ頷いた。しかし、巻き襲い群り圧して来ている数数の流派の複雑多岐な大濤を、この単調な小さい絵が噴きあげ突き跳ねして崩れぬ正しさについて、どのように形容して良いのか彼は分らなかった。それは久慈にはただ単に絵画のことばかりは見えず、世の中を横行している思想や人の行為がすべて同様だと思われ、そして、自分もまさしく噴き上げられたその一人だと思うと、にわかにあたりを見廻し、失われたものを探し求める謙遜な気持ちにふとなって来るのだった。

「ただ何んでもない、何んでもないことが肝腎なんだなア、つまり。」

久慈はこんなことをひとり呟いて真紀子と一緒に絵画館を出ていった。彼は階段を降りながらも、夾雑物のとり除かれた眼にいつもより深く真紀子が映るように感じた。真紀子も照りつける日光に眩しげに首をかしげつつ明るく嬉しそうだった。二人はチュイレリイの廃墟の跡を横切って花壇の方へ出ていった。アマリリスやカンナ、スミレなどの咲いた花壇の中に噴水があった。その傍のベンチに休むと、前方の広場に幾つも上っている高い噴水も一緒に眼に入り、あたりは日に輝き砕ける水柱にとり包まれた爽やかな競演を見る賑やかさだった。