Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

久慈はどんなことが頭に流れて来ても懼るるに足らぬと思い、出来事も昨夜のことなどはもっとも自然なことのうちの、とるに足らぬ一つだったのだと思った。

「ウィーンから手紙来ることあるの。」

暫くして、久慈はまだ訊き忘れていた真紀子の別れた良人のことを、このときを機会に一度はっきり質しておきたくて訊ねてみた。

「たまには来るの、だけどその方は御心配いらないのよ。」

強いて安心を与えるためばかりでもないらしく、真紀子は無造作に笑ってちらりと久慈の顔を見た。その笑顔も一度は云っておかねばならぬことを思い出したという風に、

「それよりあたしこう思うの、いけないようにお話とらないでね。その方がつまらないこと考えずともいいんですから。――あたし、御存知のように勝気な性質でしょう。ですから、結婚のお話だけはどちらも出来る限りしないことにしましようね。あたしの家はそれや複雑な家ですから、考え出すととても駄目。」

こちらでの出来事はすべてこちらだけとしてすませたい真紀子の希望は、昨夜千鶴子からも云われたように、久慈にも意外なことではなかった。しかし、また昨日のようにいきなり俳句を持ち出して自分を怯ませた真紀子の勝気が、こんな出来事の後までもつづくものとは久慈も予想しなかった。