Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
もし今の二人の別れが身も心もともにこのまま別れる最後だったら、それなら自分はもっと愉しむだけは愉しむかもしれぬと思った。
けれども、矢代はこのような不用な怖れを今ごろするのも、こんなことばかりが絶えずぎりぎりと頭にかかるこの西洋に現在自分がいるからであり、また一つは、昼間のサンゼリゼの出来事を眼にした直後の不安なせいかもしれぬとも思うのだった。あるいは日本へ帰ってしまえば、カソリックであろうと法華であろうと、さらに異とせぬ、「えい。」と気合いのかかったような爛漫たる無頓着さで、事は無事融合されてしまうのかもしれない。そんなら二人にとって一番神聖なものもやはり日本にあるにちがいない。
「まア、あなたは僕より一足さきへ帰ってみてくれ給え。何も僕はあなたを疑ったわけじゃなし、二人のために一度はしなくちゃならぬ心配を、うち明けてみたまでのことですから、黙っていたのより、気にかけた方が安全だというようなものでしょう。」
「それはそうね。黙ってて下すったのより仰言って下すった方が、やはり良かったと思うわ。」
表情までまだ矢代の云うままに流れて来る千鶴子だったが、それでももう前のような明るさはだんだん千鶴子から消えて来た。