Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
俺の国の美風をどうしてくれたとね。云わずにはおれないじゃないか。」
ここはポーランドの国境からずっと写真を撮ることも、旅客は禁じられていた。夜など窓に降ろされたブラインドを上げて外を見ることも許されず、日本人のいる矢代たちの部屋の前には、特にボーイが監視役についていて、中の様子に一晩中聞き耳を立てていた。しかし、こんなことも、矢代らはもううるさいこととは感じられなくなっていた。ただ一日も早く日本の匂いが嗅ぎたいばかりが望みとなり、それも眼のあたりに迫っているのだと思うと、どんな退屈さや窮屈さも忍耐出来るのであった。それに引きかえて外人たちは、日本が近づくに随って、表情も淋しげで日に日に力のなくなるのがよく分った。船で往くときには、マルセーユへ近づくにつれ勢いを増して来た外人たちの群れだったが、今はそれが反対に衰えの加わる彼らを見ては、矢代は、地中海へ入り始めたころの日本人らが、丁度そんなに凋み衰えていった当時の有りさまを思い出したりした。
南はナチスの外交官がいつも手放さずに、食堂へ行くにも携げて歩いている二尺大の皮製の薄い鞄を見て、
「何んですか、それは?」