Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

」

なるほど、この青年でこそ自分の念い描いていた日本人だと矢代は思った。彼はまた急に嬉しくなって来た。

「そうですか、雨ですかこれで、僕はまだ汽車が動いているような気持ちなものだから、――じゃ、これをどうぞ。」

矢代は横に用意してあったフィルムの円鑵を青年に手渡した。誰もそれぞれ何をしているのか分らない泡立たしいときだったので、南はと思って見ると、彼もA社の人に引き立てられ廊下の方へ出て行くところだった。

矢代は荷物を下げ、フィルムを持った青年に守られてプラットへ降りて行きながらも、前の円顔の青年の顔が見えると少し気の毒な気がして来た。待合室でも荷物の検査があったから、審査の始まるまで待っていなければならなかった。大連行の次ぎの汽車の出るまでまだ八時間も間があるとのことだった。ソビエット側の国境の駅とは違い、こちらの待合室は天井も高く、コンクリートの巌丈さで近代的な感じだったが、大きな包みを抱えて眠っている中国人の群衆の間から蠅が群り立ち、電灯の周囲を飛んでいるのが、先ずひと目で受けたヨーロッパとは違った間延びのした東洋の表情だった。矢代は検査の始まるまで広い待合室を眺めて立っていた。