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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

ところが、いよいよ船が出るというときに、甲板で最後の別れの接吻をしろって、傍の枕木の女友達が僕に奨めてきかないんだ。礼儀ならやむを得なくなって、命ぜられた通りに僕はしたのさ。そしたら傍で伯爵は、それを見ている間静粛に拍手をしているんだ。」

「それや、あすこにはまだ、騎士道の名残りがあるからな。」

と塩野は自分の出入していたパリの上流階級の風習や、また過ぎたそこでの自分のことも思い泛べたらしい眼鏡の光りだった。

しかし、矢代だけは一寸心が詰るように由吉の話を聞いていた。というより、千鶴子と自分のいる前で、そのような情景を話すつもりになった由吉の気持ちが、彼には呑み込めかねた。

由吉の暗示するところと多少の違いはあるにしろ、矢代は千鶴子に対っていた自分の態度を、由吉や伯爵に較べて考えずにいられなかった。たしかに自分の装いには、野暮なところなきにしも非ずというよりも、正当な愛情ある人物の取るべき態度ではなかったかもしれないと思った。しかし、そこが旅というものだとまた彼は思うのだった。旅の喜びを貫いて絶えず流れていた憂愁は、それ自身すでに恋愛以上の清めのような物思いであった。