Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「矢代さん、あなたあたしの手紙御覧になって下さいまして。アメリカから出しましたの。」
「二通いただきました。いや、三通かな。」
「じゃ、あたしの上げた半分だわ。どうしたんでしょう。」
「それはどうも、たびたび有りがとう。」
と矢代は一寸お辞儀をしてから千鶴子のコップにウイスキイを注いだ。千鶴子はそれも尻眼にかけ、呼吸の弾み上って来るような強い眸で矢代を見つづけるのだった。
「あたしね。あなたがもう帰ってらっしゃるにちがいないと思ってましたのよ。でも、いつまでも黙ってらっしゃるんですもの。先日からあたし、いつになったら帰ったというお手紙いただけるかと、そればかり待ってたんだけど、――」
「いや、とにかく、そんなことじゃなかったんですよ。」
と矢代はうつ向いて云った。
「だって、あんなにお約束しておいたんですもの、まさか、そんなことまでお忘れになる方だとは、あたし思えないわ。」
傍に兄や塩野のいることなどももう千鶴子は気兼ねも出来ないほどしゃんとしていた。
「しかし、まア、失礼はたしかに僕もしましたが、考えてもみて下さいよ。いくら僕だって、向うにいるときのそのまま、こちらでまで出来ないし、そんなこと、僕はもうパリでお別れのとき云った筈ですが、ところが、あのときはこんなにまで向うとこちらが違うものだとは思わなかったので、つい