Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、

「いまはむかし。」

と矢代はこういう日本の云い伝えて来た原理をくり返しくり返し呟いてみて、ふと、それなら人は生きていても楽しく、死んでもなお楽し、という結論に突きあたり勇気が一層増すのを覚えた。

千鶴子からはどうしたことか返事が少し遅れて着いた。

手紙の中に、返事の遅くなったのは幾度も手紙を書いては破ったからだとあって、今の自分は形のなさぬ苦しみに襲われていることがあるので、日毎に楽しさが無くなるばかりだということや、その原因となる主要な二三について書き並べてある中にも、やはり矢代が自分の信じているカソリックを虐める苦しさが一つあり、次ぎには結婚問題の再燃していることが挙げられてあった。

こちらがこんなに喜んでいるときに、向うはそんなに苦しんでいたのかと、矢代は妙にそれがまた楽しく、情の移らぬ顔つきで手紙を読んだ。それも、丁度文面に、

「あたくしがこんな自分の苦しみなどを書きましても、残酷なあなたのことですから、きっとまたあなたはお笑いになることと思います。」

とそんなことのあるあたりを読んで来たとき、矢代はその通りだと思ってまた笑った。

「それでもあたしが外国へ行きます前に、母と約束をしたことがあるのです。