Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

まア明日はひとつ、僕も坊さんになりますから。」

「じゃ、あたしたち、明日はお弟子さんなのね。」

と千鶴子は揚物の鮭に箸をつけて笑った。

「いや、それはお好きなように。とにかく、東洋人は理窟を食うよりも、美味いものを食う方が人生倖せだと悟ったのだから、その点西洋人よりは賢いですよ。」

食事の愉しさに矢代も傍の槙三が数学者だということをつい忘れて云った。

「しかし、人間が数というものを発見してしまったからは、もう倖せも倖せではなくなったでしょう。」と槙三は急に学生らしくはっきりした声で矢代を見て笑った。これは失敗ったと矢代は思った。

「つまり、それは抽象の発見だから、そのときから人間不幸の初まりですよ。ギリシアの悲劇の発生だ。」

「じゃ、零を発見したのは印度人ですが、これは何んですかね。抽象ですか。」

数のことに関しては、槙三は云うだけ云わずにいられぬ数学者らしい鋭い口振りになって来た。

「そうそう、零を発見したのは印度が初めだそうですね。数学のことはよく僕は分らないんだが、しかし、不思議なことには、まア話は少し違うが、日本人も大昔には零を発見しているですね。ワという字があるが、あれはアイウエオ五十音字の中じゃ、最後の十番を表す行の頭字でしょう。