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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

」

日本の実業家連中から親玉のように見られている久木男爵のひそかに洩らしたことが、そういうことを云いたかったのかと矢代は面白く思い、聞き捨てにならぬ美しい心の一面だと解した。画家の佐佐も傍で何か感動したものがあったと見え椅子の背の上で体を動かした。

「じゃ、作曲は今でも毎日されるんですか。」

数学や作曲によく専心する久木男爵の噂話を、由吉も知っているらしくそう訊ねた。

「一日に少しはどんな日もやりますが、それよりも、やり出すと、どこかへ旅をして、一部屋へ一週間ばかりわたしは籠るのです。そのときは朝から人をよせつけません。やはり、そうしてじっと心が澄んで来ないと、雑事がちらっとでも頭に泛ぼうものなら、もう駄目です。良い音が出て来ませんね。」

こういう事を云うときの久木男爵の眼は急に変り、澄み透った光を泛べた。気ままそうな小柄な身体の持ち扱いながらも、争われず芸術に錬えられたものに共通な誠実さが顕れた。

「しかし、あなたのような方だと、世間が誰も芸術家だと思わないですから、そこがお困りじゃありませんか。」

と、田辺侯爵が半ばひやかし気味に云った。

「そうそう。