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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

食堂は料理の味を害せぬためであろう全面純白な装いの中に、壁だけ横に細い金線が入っていた。客たちは正客の塩野を先にし、自然に年寄りを高座へ押しすすめながら、それぞれ年に応じた席をとった。食事は洋食で間もなくスープが出たが、この夜のパンとスープの味は、たしかにどこか一流のコックの潜んでいることを報らせていた。客たちの誰もがみなそれを感じとった表情を一瞬泛べたが、誰もそれを口にせずゆるやかな雑談から始った。矢代はフランスで食べたパンの味とあまり違わぬパンを指でち切りながら、日本もこれだけの味を出すようになった技術にひそかに驚きを感じスープの皿を傾けるのだった。

「矢代さん、東野さんとお会いになりまして。」

と侯爵夫人は穏やかな声ながらも、少し突然に聞える問いで矢代を見た。

「ええ、いつも御一緒でした。何んでもロンドンへいらしたらしい消息が知人からありましたが。」

と、矢代は答えた。この夜これが矢代の云った最初の言葉だった。

「東野さんて、東野重造君のことですか。」

と久木男爵が、これもこの夜初めて矢代の方を向いて訊ねた。

「そうです。」

と矢代は一言答えただけだった。