Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
」
云いかねていたことも矢代はそう云ってしまうと、この夜の査問に対する自分の答えも、これで先ず出来たとほッとした。またそれは思いがけなく千鶴子への答えにもなっていたので、反省すべき部分を残していると思われても、公衆の前では今のところこれ以上はやむを得ないと思った。
「あなたの道徳論も、それでまア、やっと分りましたな。」
久木男爵は小首をかしげ眼鏡を脱した後で、客たちはみな遠方を見ている風な眼差のまま誰も黙り込んだ。しかし、遊部だけ一人何んとなく落ちつき悪そうに左右を見廻しているうち偶然にみち子と視線が会った。すると、急に照れた笑顔で、
「皆黙りこんでしまったなア。みっちゃん、その後丈夫かね。」とひょっこり訊ねた。
「ええ、お蔭さまで。あなたは?」と、みち子は意外に静かな声で懐しそうに肩を落し、そして伏眼でそっと遊部を見た。
「僕もまア、この通りですよ。」
「お痩せになったわね。」
「いったい、どっちも好きなくせに別れているとは、どういうことだ、え?」と突然由吉は二人の顔を見較べて訊ねた。
「誠実さがないからさ。」と遊部は軽く俯向いて一言いった。
「あってよ。」
みち子も同様に軽く応酬したが、二人の搓りを前に戻そうとする風では少しもなかった。