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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

帯の結びもすらりと伸びた姿勢をよく纏め、矢代は暫く別人を見るような動悸を感じて、進んで来る千鶴子を眺めていた。塩野は応対に馴れた眼で、あたりの人人を見ながらゆとりのある足つきだったが、その少し後から俯向いて来る千鶴子の裾の翻る白さが、身綺麗な貞淑さを感じさせ、見ている矢代の気持ちも冴え緊った。

二人は矢代たちの前まで来ると立ち停った。そして、塩野は彼に黙って礼をすると、千鶴子は矢代の母に礼をしてから次ぎに意味もなく自然に彼と眼が合った。

「どうも有りがとう。」

と矢代は少し前に動き低く二人に云った。幸子が眼ざとく彼の顔を窺うのを矢代は感じたが、母はまだ千鶴子を塩野の夫人と思う様子で鄭重に黙礼を返して、また続く次の客に眼を移していくのだった。

塩野たちが焼香を済ませて出て来たとき、矢代は暫く休んでいって貰いたいと云って、その場はまだ喪主の位置を崩さず、門まで一応出てゆく彼女の後姿を見守りながら、ともすると葬式と結婚とが一時に襲って来たような混雑した気持ちを感じ、むしろ、今日はこのまま千鶴子に帰っていって貰った方が、しめやかな落ちつきを得たかもしれないと後悔さえするのだった。