Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

道の片蔭にまだ消え残っている雪を見降し、矢代は、いや、雪だけではない、柄になく自分が父を喜ばせた結果がこの死を導いた主な原因だと思えて疑えなかった。

それも塩野の祝賀会へ出席した夜に起った、ある偶然な自分の喜びが父に伝ったことであった。しかも、塩野の祝賀会へ最初に矢代を誘ったものは、他ならぬ千鶴子だった。

「邪魔にならないようなら僕らお骨拾わせて貰っていいんだが、自動車空いてるかしら。」

塩野は千鶴子の心中を察したものか、あるいは千鶴子から塩野に云い出してあったものか、そこは矢代にも分らなかったが、しかし、気を利かせてそう塩野の云ってくれたことは、何よりこのときの矢代には嬉しく、思わず顔にまでそれが顕われた。

「しかし、それは気の毒だなア。」

「自動車の席、一寸都合つけてくれないかね。」

矢代は塩野へ感謝するしるしに軽く頭を下げてから、「どうぞ、どこへでも乗ってくれ給え。」と云って、自動車の傍へ二人を連れて歩みよった。母と妹が家に残っていていない今の場合、矢代も親戚たちのことは気にしていられず、喪主の立場から選択して、二人を自動車へ乗せると、このことが何より今日父に報告すべき大切な事実のように思われて来るのであった。