Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

この中のほとんど誰もが外国にいた者たちばかりだったが、モスコーを見たものはまだ矢代以外に一人もいなかったからである。

「あそこのことを話すのは、なかなか難しいですよ。僕は一度、モスコーの人間はどうしてあんなに憂鬱な顔をしているんだろうと、何んの気もなく話したことがあるんだが、そうしたところが、いきなり横から、こ奴はファッショだと、怒鳴られたことがあった。とにかく僕は、あの長いロシアの道中で、笑っている人間の顔を見た記憶がないのだけれども、あれは一つは国民性か、それとも他に原因があるのか今は疑問ですね。その疑問だけは本当なんだが。」

「しかし、そういう重大な疑問を、自国民にも話し得ないということは、そりゃ、世界の誰も彼もが戦戦兢兢として暮しているという証拠だね。とにかく、もう起るものは起っているよ。そして、救うものもこれでどこかに潜んでいるんだ。」と東野は云って窓から樹の間越しに海を見た。

「にこにこしている大阪か。救うのは。」と由吉は間を脱さずひやかしたので、また皆は一緒に笑い出した。

このような真面目な話題や雑談がお茶どきから夕食前まで一同の間で続けられたが、時間はおどろくほど早く過ぎた。