Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
」
「そうでしょうな。」
矢代は火の点かぬ煙草を口に咥えて笑った。
「あたしも皆さんと御一緒に、マルセーユで降りたいんですけれども、やはり、このままロンドンまで行くことに決めましたの、あら、まアあんなにお日さま大きくなりましたわ。」
と、突然千鶴子は嬉しそうに云って夕日を受けた靨のままコルシカ島の上を指差した。
「左のこのサルジニアでガリバルジイが生れたというんですが、ナポレオンと向き合っているところは面白いですね。」
「何となくそんな人の出そうな気がしますのね。」
船は首を上げたり下げたりしつつ夕日に向って苦しげに進んでいった。見ていてもその様子は気息奄奄という感じで、思わずこちらの肩にも力が入った。ぱッと甲板に打ち上った波は背光を受けたコルシカの岩より高く裂け散って、人家も見えず、左方に長く連った峨峨とした灰藍色のサルジニアが見る間に夕日の色とともに変っていった。
「ここは静かなところだと思っていましたけど、地中海が一番荒れますのね。」
と千鶴子は額に手を翳し、飛び散る泡にも滅げず云った。
「そうですね。しかし、まア、幸いにこれほどで何よりでしたよ。ナポリへ船の寄らないのが残念ですが。