Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

遊部や速水は侯爵夫妻の空いた自動車で帰ることにしたが、矢代は昼からの会合に人疲れを覚えたので乗り切れぬ自動車をやめて歩くことにした。しかし、急に由吉ひとりは平尾男爵らとホテルへ残ると云い出したため、千鶴子だけ先に帰ることになった。

「枕木さんからのお土産でもあるんでしょう。きっと。」

宿泊する由吉の意存を千鶴子はそう云い当てて矢代と歩いた。他に塩野と佐佐もいた。みな疲れている様子で薄霧の降りた夜道を黙りつづけた。海からすぐの河口まで来たとき、誰からともなく橋の上で自然に足が停った。ほの白く煙っている潮の灯を見ているうち、佐佐が軽い吐息をついた。欄干の鉄の冷えているのがいつかまた旅の日の夜を思い出させて来るのだった。しかし、矢代はこの日、槙三から持って来てくれた千鶴子の報知のことを思うと、それが何よりも嬉しかった。海の開けている河口の霧も、末拡がりに開いた白い扇に見えて元気が出た。彼はこのような機会に、千鶴子の家へ結婚を申し込むべき形式の相談を二人でしたいと思ったが、傍にまだ人がいてそれも出来がたかった。橋の欄干から離れて歩いて行くときも、矢代は暫くそれを云い出す機を覗って緊張した。