Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
何かそれは復讐めいた色艶にさえ矢代は感じ、一寸息苦しい思いになって俄に打ち返す言葉も出なかった。
「そうそう、ピエールさんといえば、たしかあの人、ひょっとすると日本へもう来るころかもしれないよ。日本へ行くほど愉しいことはないと、云ってたからね。あの人は日本を好きで仕様がないのだよ。」
塩野はまだ矢代と千鶴子との間に今も生じている微妙な気持ちの反り合いには、少しも気付かぬ無頓着さで云うのだった。
「いや、もうあの人、来ない方がいいよ。」と矢代は、ひと息の苦しさも愉しみに擦りかえて千鶴子の顔を眺めた。
「そんなこと仰言らずに、めし上れ。」
千鶴子は矢代のコップにビールを注いだが、こういうときのほんの少しの勝ち越しも、いつか男をたしなめる優雅な手つきにするすべさえ加わり、それも自分の見知らぬ夜会で養われて来たものかと、少し赧らんだ千鶴子の眼もとに泛んで来る微笑を、矢代は今さらにおどろき振り返った。
「じゃ、この一ぱいだけはピエール氏のために。後はもう駄目だ。」矢代は先ずこのとき一ぱい飲んで、塩野に対い、
「この千鶴子さんはね君、ピエール氏が非常に好きだったんだよ。