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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「藤沢が来ましたか。あれは今度、幹部になったなア。」

「そうですってね。あの方のお母さんとは父兄会でお会いしたきりなんですが、御病気ですって。」

小さいときからの皆の交遊の深さも思われる塩野たちのなじみぶかい素ぶりだった。矢代はそういう話を物珍らしく聞いていたが、宇佐美家への自分の日の浅さもまた次第に感じ、これで千鶴子と自分との縁談が整うような日が来たら、塩野の立場も今の自分のような位置に変るのだと思った。そこに瞬時に巻き違う寂しさに似たものの淀みもたまって来るのだった。それにしても矢代は、これで自分が旅さきで千鶴子に汚点を滲ませていたなら、こうして彼女の母と会う苦しさも、今と別して心忌ましい夜となっていたにちがいないと思った。その点、まだ何事もなく旅中の友づれに変りのない現在の自分だったが、しかし、そう思うと、とやこうと気がねを組んで考える自分の憂鬱さが、急に明るみに照し出された汚点のように見えて来て、さすがに人の母たるものの貫禄は、このような微妙なところに射し出るものかと、矢代は、またもそんなところに感心されて来るのだった。

塩野と千鶴子の母の間では、それからも暫く、由吉や塩野の小学時代の父兄会を中心にした親たちの話がつづいた。