Japanische Klassiker mit Furigana
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りょかんについて
旅館について
山本 周五郎
Lesen Sie 旅館について (りょかんについて) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.912 Zeichen · 16 Bildschirme
私が渡ってゆくと、下の池で食用蛙――だろうと思う――のやつが鳴いた。それが「ばかやろ、ばかやろ」というように聞えるのである。水を壜に入れて戻るときも、やつはまた「ばかやろ、ばかやろ」と聞える。私は聞えないふりをし、座敷へはいるなり扇風機の向きを直して、風の中に坐り、水割りを作って飲んだ。あの呑んだくれの女中を呪い、消えてしまった三人の同伴者に悪口をあびせかけながら。しかし悲しいことに、タンサン水の壜は小さいので、水割りを二杯も作ればからになってしまう。
「立てよ、ぶしょうをするな」と私は自分をはげました、「いい運動じゃないか」
私は五回、渡り廊下を往来した。片道が約二百メートルとみて、往復五回だとするとほぼ二キロあるいたことになる。池の食用蛙らしい蛙のやつはそのたびごと、さも面白そうに嘲弄するのである。初めは「ばかやろ」というふうに聞えたが、次には「ざまみろ、ざまみろ」とも、また「ごくろさま、ごくろさま」というようにも聞えた。
「よしよし、なんとでもぬかせ」私は水割りを啜りながらやり返した、「おまえなんぞは人を嘲弄するほかに、なんの芸もないんだろ、かなしいかな、池の中からな」