Japanische Klassiker mit Furigana
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うえの
日和下駄 一名 東京散策記
永井 荷風
Lesen Sie 日和下駄 一名 東京散策記 (うえの) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.955 Zeichen · 70 Bildschirme
」
お民は答えないで、徐に巻煙草をのみはじめた。
「僕はお前さんに金を取られる理由はない筈なんだが、一体どういうわけで、そんな事を言うのだ。」
「わたしカッフェーをやめて、何もしていないから困っているんです。」
「困るなら働きに出ればいいじゃないか。僕はそんな相談をかけられるような弱身はないのだから。そういう事は外に相談をする人があるだろう。お前さんには家まで持たせた旦那があるというはなしじゃないか。」
お民はまた返事をせずに横を向いた。
「兎に角きょうは用があるから。これから出掛けるのだから。おとなしくお帰んなさい。」と僕は立って入口の戸を明けた。
お民は身動きもせず悠然として莨の烟を吹いている。僕は再び「さア。」といって促すと、お民は急に駄々をこねるような調子をつくって、
「いいえ。帰りません。」と首を振って見せた。
「帰ってくれというのに帰らないのは穏かでない。それではまるで強請も同様だ。お前さんがいくら何と云っても僕の方では金を出すべき義務も理由もないのだから。駄目だよ。」
「それでも、わたしお金がいるんですよ。あなたはお金のある人なんだからいいじゃありませんか。