Japanische Klassiker mit Furigana
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にちげつさま
日月様
Lesen Sie 日月様 (にちげつさま) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.162 Zeichen · 23 Bildschirme
そのうち、これが偶然でして、この人の東京の下宿の隣家が刺青の名人だったのです。今と違って、そのころは戦争中のことで、刺青なんてものを、人がざらにやるものじゃアない。めったにお客もなかったのですが、この人が奇妙な人で、紙に絵を描くだけじゃアつまらない、自分の身体にやってみたい、いっそ刺青をやってみたい、自分の手で自分の身体にやってみたいと考えたのです。そこで隣家の刺青の名人に弟子入りして、とうとう、自分で自分の身体にやったのですが、やってみると、その出来栄えがつまらない。そりゃ、そうでしょう。ろくすっぽ稽古もやらずにやった仕事ですから、出来栄えがいゝ筈もないじゃありませんか。あげくに、どうしたと思います。刺青の部分を自分で皮をはいだんです。幸いモモのいくらでもない部分でしたから、ちょいと昏倒したぐらいで、済んだんですがね。まア、そういった人ですから、並の人とは気性も違います。つまり、女ながらも、骨の髄から芸術家の根性で、それについちゃア、鬼のような執念があるわけです」
女は眉一つ動かさなかった。話は思いがけなく異様なものであるが、話の内容を本質的に納得させるような凄味がない。