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Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんにおけるくりっぷんじけん

日本に於けるクリップン事件

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 日本に於けるクリップン事件 (にほんにおけるくりっぷんじけん) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.290 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

亭主の帰りは、午後六時頃に会社から真っ直ぐ戻る場合もあり、細君の出ている小屋へ廻って、十一時前後に、仲好く腕を組みながら帰宅する場合もあった。従って、昼間はめったに顔を合わせる暇のない夫婦であるから、家へ帰ると、夜が更けるまで話し合っているのに不思議はないのだが、どういう訳か三日にあげず喧嘩が始まって、夜半の一時二時頃になると、夫婦の激しい掴み合いや格闘の響きが、平和な村の眠りを破った。そればかりでなく、その喧嘩の内幕についても、奇妙なことが発見された。というのは、最初村の人たちは、亭主がやきもち焼きなので、細君をいじめているのであろうと想像していたのに、だんだん様子を探ってみると、怒鳴りつけたり殴ったりするのは細君の方で、亭主はあべこべにひいひい泣きながら、赦しを乞うているのであった。さてこそ「あの女はヒステリーだ、何ぼ女優でも変だと思ったが、やっぱり幾らか気がおかしいんだ」というような噂が、ぱっとひろまってしまったのである。

そういう訳だから、その晩前記のB家の主人は、その犬の声や物音を聞いても、別に気にかけるはずはなく、「またやっているな」