Japanische Klassiker mit Furigana
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さいまつのしちや
日本の名随筆 別巻18 質屋
山之口 貘
Lesen Sie 日本の名随筆 別巻18 質屋 (さいまつのしちや) von 山之口 貘 (やまのくちばく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.509 Zeichen · 7 Bildschirme
ぼくにとってはなじみの質屋さんなので、すすめられる通りに利子には更に利子をつけてあげたいのでもあるのだが、ぼくもなにしろ、金があっての質屋通いなのではないので、うっかりしたことは出来ないのである。とにかく、借金によるつらさは、そのまま生きることのつらさなのだ。人によってはそのつらさを、自殺とか一家心中とかで表現してしまうものもあるが、ぼくは事情あって、なんとしても生きねばならず、なんどでも紳士協定にすがってまたしても、「絶対に迷惑をかけないから。」とたのみこみ、どうやら、質札の書き替えからも自殺からものがれて来たのだ。この間、印税というほどの金ではなかったが、多少はいったかとおもうと、女房はまず何よりも先に質札を持ち出して来たのだ。ぼくは紳士協定によって二十三カ月分の利子を揃えて持って行き、これで質屋との縁切りだと思ったが、さすがはなじみの質屋さんだけあって六カ月分の利子を勉強してくれたのではいずれまたのれんをくぐらなければならないみたいなのである。