Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しゃにちざくら
日本の名随筆17 春
河井 寛次郎
Lesen Sie 日本の名随筆17 春 (しゃにちざくら) von 河井 寛次郎 (かわいかんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.051 Zeichen · 9 Bildschirme
然しこの調理者は其土地から一歩も出た事もなく出ようともしなかったし、又出られもしなかった。三里も離れた土地には、又その土地の調理者がいて、自分の縄張りを守っていたから。こうして子供達は土地と関係した。だからこれこそ一番勝れたものだなどと、人はよく育った土地の物を自慢するが、こんな事は其の人にはほんとうでも他には通用しない滑稽事に相違なかった。
それはそうと子供達の二月の蕾は固かったが、中味は雪を冠った中庭の南天の実のように赤かった。子供達は着ぶくれて丸められていたが、雪のやみまには藁靴をはき、雪掻きをかついで外を馳けまわった。そして、真白い田圃の向うの真白い重なり合った山々から、細い青い煙の上るのを見た。一本二本三本四本――。あんな遠い雪の山の中にも人がいるのか――かすかではあったが、いのちの合図をしているような炭焼く煙――子供達はどんなにかこんな遙かな人を思い慕った事であろう。
其頃は雪はよく降った。一尺から二尺位も度々積った。朝から一間先も見えない程な、牡丹雪が降ったりした。子供達はこんな日には表の間の、蔀戸の障子をあけ肩を並べて往来を見ながら唄った。