Japanische Klassiker mit Furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
お勝の体はみるみる暴漢と二三尺離れたが機を喫って膝を突いた。お勝は襲いかかってくる暴漢を払いのけるように、隻手をその方にやって一方の手で起きようとした。面長な色の白いお勝の顔が艶かしかった。暴漢は帯を捨てて迫って来た。
「なにをさらす、この無法者」
物凄い怒り立つ声がして暴漢の前に枴が閃いた。暴漢は立ち縮んだ。
「きさまは、地下浪人じゃな、俺の家の嫁をどうしようと云うのじゃ」
背の高い短い刀を差した暴漢は、手習師匠をやっている林田与右衛門と云う浪人であった。林田はぎょろりとした眼で対手を見た。何時も見なれている翁の面の為作の顔があった。
「その女子には、俺が話したいことがある、邪魔をすると只ではおかんぞ」
「それは此方から云うことじゃ、この女子は俺の家の嫁じゃ、俺の家の嫁をどうしようと云うのじゃ、この無法者」
為作の手にした枴はまた閃いた。林田はちょと身をかわすなり、その手元につけ入って枴を奪いとってふりかぶった。その林田の眼の前にその時、不意に恐ろしいものが閃いた。それは薙刀を二つ組みあわせたような紫色を帯びた大蟹の鋏であった。林田は驚いて枴を投げ捨てて後へ退った。