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Japanische Klassiker mit Furigana

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かにのかい

日本の怪談(二)

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme

Aozora Bunko

二人はその板橋を右に見て江戸川縁の方へ出て往った。女は後から歩きながら疲れたように可愛らしい呼吸を切った。

江戸川縁の住居は真黒であった。侍は女を戸口に立たして置いて、手探りに戸を開けて内へ入り、行灯の灯を点けると女を呼び入れた。そして、二人はその行灯の前に向き合って坐った。

「この御恩は忘れません」

女は男の顔を見ると、直ぐこう云って涙を流した。侍はそれが可哀そうでもあれば、好い気もちでもあった。

「なに、こればかりのことが」

侍は次の室へ往ってかさかさとさしはじめた。それは茶を沸かして女に勧めるためであった。と、女は其処へやって来て、

「私がいたしましょう」と云って、無理に竈の前に据わって茶の火を焚いた。

茶が沸くと二人はまた行灯の前に往って坐った。

「こんなことを申しましては相済みませんが、男の一人住みでは、何かにつけて御不自由のようにお見受け申しますが、どうか私を飯焚になりと置いていただくことはできますまいか、先刻もお話ししたとおり、私は他に手頼る者もございません体でございますから、いずれ奉公なり何なりいたさねばなりませんが、女の独身で、彼方此方しておりましては、どんな悪人の手に渡らないとも限りません、それを思いますと、将来が心細うございます、もし、長いことお世話になることができませんなれば、此処二三日