Japanische Klassiker mit Furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
二人が話をしているのを傍にいた朋輩の一人が聞いて、
「火の話をしておるが、俺も不思議な夢を見たよ、一人で野原を歩いていると、足をやる処が皆火になって、どうしても歩けない、何処か火のない処はないかと思うて、逃げ廻っておると、小さなお堂が見える、其処へ逃げて往って見ると、不動様が立っておった。夢はそれで覚めたが、何しろこれまで見たことのない夢であったよ」
その話はきれぎれに監物の耳に入った。監物は厭な顔をした。彼は体から火の炎々と燃えている奇怪な男に、終夜追いかけられた夢を見ていたのであった。
監物は己の邸へ帰ると、門の脇に台を作ってその上に積善寺から執って来た不動の木像を据えた。
監物は藩主の一族で三万石の領地を受けて、藩の家老格に取扱われている者であったが、至って片意地の強いきかぬ気の男であったから、村役人の家の怪異なども別に気に懸けなかったが、それでも心の何処かに一点のしみを残していた。
その日は初冬の空が晴れて黄色な明るい日が射して、空が碧あおと晴れており、夕方の空には星が一面に散らばって、静で穏かな一日の終りを示していた。ところで監物が酒の後で飯を喫おうとした比から、急に大きな雷鳴が始まった。