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Japanische Klassiker mit Furigana

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かにのかい

日本の怪談(二)

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme

Aozora Bunko

飛脚は刀を揮りかぶって打ちおろした。刀はその額にあたって、狼は大きな音をして下に落ちた。と、幹にとりついていた数多の狼がばらばらと下におりて四方に逃げながら物凄い声で吠えた。

狼はもうその四辺にはいなくなった。飛脚は木の葉に血のりを拭って刀を鞘に収めながら、彼の大狼を切って皆の狼が逃げたところを見ると、あれはこの山の狼の頭であろう……と思っているうちに、ふと、佐喜の浜の鍛冶の母を呼うで来いと云った怪しい詞が浮んで来た。……彼の狼が呼んで来た鍛冶の母かも判らないが、一体鍛冶の母とは何んだろう、鍛冶の母にでも化けている狼のことであろうか、それでは佐喜の浜は野根の磯続きの村であるから、佐喜の浜へ往けば判ることだろうと思った。「佐喜の浜の鍛冶の母」と、云う詞が耳にこびりついて消えなかった。

二

朝になって陽が高くなったところで、六七人伴の旅人が野根の方から来たので、飛脚は女と嬰児を頼んでむこうの村にやり、己は一人野根の方へおりて往った。飛脚の刀のために死んだ二十余疋の狼の死体が血に塗れてそのあたりに横たわっていた。

そして、飛脚は午近くなって野根村へ往ったが、佐喜の浜の鍛冶の母のことが気になっているので、それの詮議をするつもりで、己の定宿にしている宿屋へ往って昼飯を喫い、宿の主翁に前夜の話を聞かした