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Japanische Klassiker mit Furigana

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うつりが

日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江

近松 秋江

Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme

Aozora Bunko

車室がスチームに暖められているせいか、冬枯れた窓外の山も野も見るから暖かそうな静かな冬の陽に浴して、渓流に臨んだ雑木林の山には茜色の日影が澱んで、美しく澄んだ空の表にその山の姿が、はっきり浮いている。間もなく志す大河原駅に来て私は下車した。

かねて南山城は大河原村の字童仙房というところの親類に引き取られていると聞いていたので、大河原の駅に下車すると、そこから村里まで歩いて、村役場について、まず親類という人間の姓名をいって、戸籍簿を調べてもらったが、村役人は、「そんな名前の人は心当りがありませんが」といって、帳簿を私に見せてくれた。そして、童仙房というところは、この大河原村の内であっても、ここから車馬も通わぬ険悪な山路を二、三里も奥へ入って行かねばならぬという。そんな遠い山路を入っていっても童仙房というところにそんな人間がないならば無益なことである。

そして、そんな姓名はこの大河原村にはない。それと同じ姓は、この隣村の何がし村の聞き違えではないか、その村には藤村という姓が多いという。しかしその村もやっぱり鷲峰山という高い山の麓になっているので、そこまで入って行くには、どちらからいっても困難であるが、まだここから行くよりも、ここから三つめの停車場の加茂から入って行った方がいいが、それでも五、六里の道である。