Japanische Klassiker mit Furigana
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いも
日本プロレタリア文学集・11 「文芸戦線」作家集(二)
佐左木 俊郎
Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・11 「文芸戦線」作家集(二) (いも) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.241 Zeichen · 54 Bildschirme
「婆さん! いいから、いいから。婆さんこそ何か買って食ったら?」
辞退してもお婆さんはきかなかった。
お房はそれを貰って、涙を拭いながら、父親に送られて戸外に出た。荷物を背負った父親は、お房を先に立てて、雪の中へどふどふと這入って行った。門口の柊の株を右に曲って、二人の姿が見えなくなると、母親は、わあっ! と声を立てて泣き出した。
五
雪が消えると、荒れ錆れた赭土の窪地の中に、黒土の一帯が再び島のように浮き出した。黒土地帯の中央には、直ぐに掘抜井戸の、高い櫓が組まれた。春先の西風は、唸って、それに突当って行った。併し櫓の上では、長い丸竹の機条竿が、幾日も幾日もぎちぎちと動いた。
「どうだね? まだ水脈さ掘付けねえがね?」
森山は斯う言って、毎日幾度も訊きに来るのだった。一日中其処から離れないことが度度だった。自分で櫓へ上って、がちゃがちゃと、居ても立ってもいられないと云うようにして鑿竿を動かしたりした。
「なんだって此処は水が出ねえんだかな?」
森山は最早常軌を逸していた。水! 水! 水! 彼の全身は渇き切っていた。彼の将来にかけた明るい希望は、黒い乾燥地帯に圧付けられていた。