Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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テガミ

日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7

小林 多喜二

Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7 (テガミ) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.535 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

「うまい乳を一杯のませて、ウンと丈夫に育てゝくれ!……はゝゝゝゝ、首を切られたんじゃうまい乳も出ないか。」

お君は刑務所からの帰りに、何度も何度も考えた――うまい乳が出なかったら、よろしい! 彼奴等に対する「憎悪」でこの赤ん坊を育て上げてやるんだ、と。

お君が首になったというので、メリヤス工場の若い職工たちは寄々協議をしていた。お君の夫がこの工場から抜かれて行ってから、工場主は恐いものがいなくなったので、勝手なことを職工達に押しつけようとしていた。首切り、それはもはやお君一人のことではなかった。――お君は面会に行った帰りに、皆の集まっている所へ行って、夫に会って来たことを話した。

赤ん坊の顔を見て、「後取りが出来た、これで俺も安心だ」と云った所に話が行くと、皆は息をのんだ。誰かゞソッと側の方を向いて、鼻をかんだ。ある者は何か云おうとしたが、唇がふるえて云えなかった。皆は一言も云わなかった。――然し皆の胸の中には固い、固い決意が結ばれて行った。

*

メリヤス工場では又々首切りがあるらしかった。何処を見ても、仕事がなくて、食えない人がウヨウヨしていた。