Japanische Klassiker mit Furigana
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じょきゅう
日本プロレタリア文学集・7 細井和喜蔵集
細井 和喜蔵
Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・7 細井和喜蔵集 (じょきゅう) von 細井 和喜蔵 (ほそいわきぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.732 Zeichen · 33 Bildschirme
彼もまた可愛いけものに対する愛着の情になやまされないではいられない。
「生きていて働く権利が無いなんて、何という馬鹿馬鹿しいはなしなんでしょう!」
妻はこう言ってぼろぼろとくやし涙を落した。
「働く権利は十分あっても機会が与えられない。」
「使う機会の無いような権利が何の役に立つの、癪にさわる!」
「仕方がない、諦めて暫くのあいだ別れてくれ。」
「わたしには、モルモットを愛する権利さえも与えられないんだろうか? ああ――癪にさわる、癪にさわる、くやしい、くやしい、くやしい。」
彼女は歯軋りするようにこう言って、その日の新聞を引き裂いて了った。そしてますます理性を失ったものの如く良人を罵詈し、小さな動物にまでやつあたりし出した。
「いわば、こんなことになるのはあなたに甲斐性が無いからだわ。正しい事をしてやって行けない世の中だったら……。」
「或いはそうかも知れん。」
彼は疳のたった妻に対して、余り言葉を返さない方針をとった。
「わたし、モルやを殺して了ってやる。何だ! こんな鼠なんか人間が食べて行けないなんて瀬戸際にのぞんで。」
彼女は瞼の中へ一ぱい涙を湛え乍ら、込みあげてくる口惜しさに手をおののかせて動物の箱をくつがえそうとした。